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人間の体内では2倍にしか大きくながんには実際に現れた臨床がんとそれ以前の潜在がんがあって、臨床がんは早期がんと進行がん、あるいは臓器の病気(治るがん)と全身病(治らないがん)に分けられることを説明しました。
それ以外に、皆さんもご存じのように、発生した臓器によって分類されます。
つまり、胃に発生したら胃がん、肺に発生したら肺がん、大腸なら大腸がんということになります(ちょっと横道にそれますが、進行がんでは発生した臓器から離れたべつの臓器に転移することがあります。
この事実は、どんながんの患者さんでも、ある程度の免疫が機能していて、がん細胞はそれによってつねに抑えられていることを物語っています。
体の中でがん細胞は無秩序に分裂してふえていますが、その一方で免疫系によって攻撃、抑制されているのです。
その差し引きが、臨床的に観察されるがんの大きさということができるでしょう。
こうしてみると、がんの発生や進行には、免疫監視機構の働きが深く関与していることがわかってきます。
がんが発生するかどうかや、進行(悪化)するかどうかといったことは、がん細胞の分裂するスピード云々よりも、むしろ免疫側の監視能力や抑止能力のほうに問題があるのではないか、そんな考え方も成り立つわけです。
実際はどうなのか、それはつぎで明らかにすることにしましょう。
たとえば、胃がんが肺に転移した場合、これは胃がんの肺転移ということで、肺がんにもなったというわけではありません。
また、1つの臓器にはさまざまな種類の細胞が存在しています。
したがって、これらの臓器別のがんは、その発生した細胞の種類や細胞の形態からさらに組織分類されることになります。
たとえば、肺がんならおもなものとして腺がん、一局平上皮がん、小細胞がんの3つがあります。
このように細かく分類していくと、そのがん細胞の性質もかぎられていくものと錯覚しがちです。
つまり、肺の腺がんで転移をきたした進行がんというと、どの患者さんのがんも同じ性質のがん細胞で同様な経過をたどるように思えるかもしれません。
しかしながら、1人1人、病気の経過も異なり、また、治療による効果もみな大きく違っています。
これはなぜなのでしょうか。
先に述べたように、がんは多段階発生といって、さまざまな遺伝子の異常が順に組み立てられ蓄積されていくことで発生します。
このがん化にかかわる遺伝子の異常は現在、はっきりわかっているだけで別種類以上になります。
これらのうちの1つ1つに異常のあるなしで組み合わせを探ると、3種類でも1000通り、組織分類は100万通りにもなります。
したがって、遺伝子異常から見ると2つと同じがん細胞は存在しないことになります。
さしずめ、臓器の種類が都道府県名で、組織分類が市町村名と考えていただければいいでしょう。
臓器と組織型が決まっても、市町村までが決まるだけで、そこには多ければ100万人もの人が住んでいます。
何々市に住んでいる人といっても土地柄、のんきな人が多いなどという傾向は多少あっても、1人1人は外見も能力も性格もみな違っており、クローンのようにそっくりな人は2人といないでしょう。
がん細胞も同じことです。
抗がん剤治療を受けるに際して、この薬が効くのは何十パーセントの方であるという説明をすることがよくあります。
患者さんとしては、とりあえず他の患者さんはどうでもよくて、肺の腺がんである自分には、いったい効くのか効かないのかと聞きたくなると思います。
しかし、一見、同じ種類のがんでも1人1人個性があって、薬の効き方も千差万別というしかないのでしたがって、まれにしか効かない治療であっても、その患者さんにはひじょうに有効で、うんと長生きできるかもしれないということもできます。
また、経過もまちまちであって、たとえ、なにも治療を受けることなくしても、病気の進行は穏やかで何十年も長生きできる方がいらっしゃるのも事実です。
よく、同じ病名の患者さんの治療が効かずにすぐに亡くなってしまったことを聞いて、ご自分も同じではないかと考えてしまう方がいらっしゃいますが、同じご病気ではないので悲観するにはおよびません。
「抗がん剤」でがんと目闘うべきか否かたり、手術でと腕こともあります。
現在、がんに対してはいろいろな治療法が試みられています。
その中で主流をなしているのは、三大療法といわれる@手術(外科的療法)、A放射線、B抗がん剤(化学的療法)です。
病院では、患者さんの症状やがんの種類、進行度などに応じて治療法を選択します。
それぞれを単独で用いる場合のほかに、がんが大きいときなどは、抗がん剤で小さくしてから切除し、手術でとりきれなかったがんを、放射線や抗がん剤でたたくといった併用療法を試みる診断方法の進歩や医療機器の発達などともあいまって、日本の医療技術は世界的に見ても高い水準にあります。
ところが、がんで亡くなる人は1981年以来ずっとトップを維持したままで、いまのところ減少に向かう気配がありません。
がんは免疫力の衰えた年配の方に多く発生する病気ですから、すでに高齢化社会を迎えた日本では、その死亡率が増加の一途をたどるのも無理からぬことです。
しかし、年齢構成の影響を受けない訂正死亡率に直すと、がんの死亡率は、ほぼ横ばいになっています。
増加よりは横ばいのほうが少しは聞こえがいいように思えますが、うがった見方をすれば、治療レベルが向上したといわれるわりには、がんに対する治療成果はあがっていないということになります。
手術は早期がんに対してひじょうに有効な手段であることは間違いなく、がんが発生した部位にのみとどまり、そのすべてを切除することができれば、手術だけで完治させることが可能です。
その意味で、「早期発見、早期治療」は、手術のためにあるような言葉といえなくもありまず、手術は、基本的にメスを使ってがんの病巣をとりのぞく方法です。
たとえば、胃がんなら胃の全部を切除したり、肺がんなら片方の肺の半分を切りとるようなことがよくおこなわれます。
以前は、病巣部だけでなく、転移するおそれのある周辺の組織やリンパ節を根こそぎとりのぞくような拡大手術も多く見られました。
しかし最近は、乳がんに代表されるように、多少がんを残存させる可能性があっても臓器を温存する傾向が高まっています。
ごく初期のがんであれば、内視鏡を使って簡単にとりのぞくいまの日本では、およそ3人に1人ががんで亡くなり、毎年約1万人のペースでその数がふえ、新たに発病する人は年間で約別万人にのぼっています。
がんを克服できずにいる三大療法にはどこに問題があるのでしょうか。
それぞれの特徴をとりあげながら考えてみなくてはなりません。
ことができます。
「抗がん剤」でがんとまりせん。
このことは逆に、広範囲に浸潤・転移した進行がんには顕著な成績をあげられないことを意味します。
「開腹したらお手上げ状態。なにもできずにおなかを閉じた」という話をしばしば耳にしますが、進行がんに対する手術の無力さを象徴しているように思います。
体力のない年配の方や重度の患者さんの体に何度もメスを入れることは不可能ですし、手術が長時間にわたれば、ますます体力を消耗します。
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